* 4/1(月)17時頃までに終了する主要セールが多くなっています。
記事内に広告が含まれる場合があります

Kontrol S5の登場でTraktorの方向性がはっきりしてきた

Traktorの方向性がはっきりしてきた

Traktorの製造業者であるNative Instruments社(以降、NI)から、Traktor用の新しいインターフェイス「Traktor KONTROL S5」が発売されました。

Native Instruments DJコントローラー TRAKTOR KONTROL S5

新しいTraktorファミリーの事実上の標準モデル 「Traktor KONTROL S5」

 

Traktor用のオールインワンコントローラーインターフェイスとしては、新しいフラッグシップモデルの「Traktor KONTROL S8」同様「ジョグホイール」廃した独特なデザインになっています。

 

 

S5のサイズは、ほぼ「Traktor Kontrol S4」と同じサイズで、S4に搭載されているジョグホールがあった場所に高画質スクリーンが配置されています。

今年春にリリースされたKontrol D2もほぼ同じデザインです。

  

 

Native Instruments TRAKTOR KONTROL D2

Z2などのリアルミキサーと親和性が高いKontrol D2。こちらもS8同様、Remix deckとStemsの操作へのフルアクセスが可能。

 

Native Instruments DJコントローラー TRAKTOR KONTROL S8

Traktor Kontrolシリーズのフラッグシップモデル「Kontorl S8」。Traktorの最新機能「Stems」や「Remix deck」の操作にフルアクセス可能。ディスプレイの視認性も高い。

 

 

Traktor Kontrolシリーズの中で一番高額なデジタルDJステーションのKontrol S8。そのS8がリリースされたのが2014年の秋。

S8のリリースされた2014年の秋以降、または、モジュールタイプのF2の発展形ともいえるD2が発売された2015年春ごろあたりから、NIの志向性の変化は見えてきてはいました。

そして今回、大型のS8では得られなかった可搬性を有した新たなリファレンスモデルとしてS5がリリースされました。これによってNIが目指すTraktorの未来像がよりいっそうハッキリしてきました。

 

この一年の間に、満を持してリリースされたS8を皮切りに、立て続けにリリースされたTraktor用インターフェイス「S8」「D2」「S5」。三つに共通する要素は、外見的には明白で、ジョグホイールを廃止して高解像度のミニディスプレイを配置したこと。

 

ジョグホイールさえ取っ払い、機械に出来ることはなるだけ機械に任せるデザイン。

機械に任せて自由になった時間を、より多種多様な機能(どちらかというとDAW由来の機能)を使う時間に当てることが可能になります。

ここ数年間でTraktor製作陣がじっくり育て上げてきた自慢の「Remix Deck」と、期待の新機能「Stems」をどうか存分に使ってくださいと言う事なんでしょう。

 

 

*記事中の表示される場合がある「セール終了予定日」は目安です(海外サイトは終了日がかなりアバウトで予定より早く切り上げたり、また延長したりする場合があります)。

広告

機械に出来る事とは、ビートマッチング(シンク機能)

CDJやターンテーブルを使ったトラディショナルなDJプレイでは、ビートマッチングの作業が大きなウエイトを占めていました。ソフトウェアの発達によって、従来、ビートマッチングに割かれていた時間が、自由な時間としてDJに示されています。

この自動ビートマッチング(シンク機能)は、以前からTrarktorなどのデジタルDJの独壇場でしたが、近年のシンク機能の一層の強化により、DJがビートマッチングにリソースを割く必要が大きく軽減されました。このシンク機能って奴は、本当に革命的でした。

 

自動ビートマッチング(シンク機能)の負の側面も挙げておきます

 

ソフトウェアを用いてのビートマッチングを良しとしないDJは、いまだに数多く存在します。

テクノやハウス、EDMなどの4つ打ち系のダンスミュージックのプレイの枠に収まりきらないユニークなプレイを売りとするDJたちにとって、そうした機能を使うことはあり得ない選択のようです。

機械任せのビートマッチングはとても退屈であると彼らは言います。

確かに、フィジカルにレコードを触りながら、ターンテーブルのピッチフェーダーを自在にコントロールした方が、選曲の多様性という側面では、バラエティーに豊んだリズムとテンポを駆使したプレイが可能でしょう。

 

アナログなミキシングを本分とするDJたちは、テンポが全く違う曲をミックスする独自のテクニックを開花させてきました。

 

確かに、2時間超のDJプレイで継ぎ目のない、ずっと同じようなテンポに、スムース過ぎるミキシングでは、ひどく退屈なプレイに感じられてしまう恐れがあります。(どこで曲が変わったのか踊っている方にはわかりづらい。)

これは、自動ビートマッチング機能を用いたデジタルDJに潜む重大な落とし穴と言えます。

(ビートマッチングに固執した)綺麗なミキシングにこだわるあまり、ストーリー展開という大局を見失ってしまうことは、初心者ではないDJでも堕ちりがちな傾向かもしれません。

これは、Mixed in keyなどのキー検出機に頼りきった過剰なハーモニックキーミキシングにも同様のことが言えるのではないでしょうか。

時には大きな局面の変化をつくる大胆な選曲も、プレイ全体のストーリー性を構築するための重要な要素です。

「木を見て森を見ず。」

継ぎ目のないスムースなミキシングも重要ですが、それに心奪われて、プレイの大きな流れに対し盲目状態に陥るのは避けるべきでしょう。

 

より豊かなプレイをするための大局的な要素は、テンポやリズム、キーなどが異なる曲の選択を恐れないことです。

もちろんそれらの大きく異なる性質を持た曲同士をミックスする場合、不快な不協和音が発生してしまう可能性が高くなります。

それらを克服するための技術は一夜漬けで得られるほど生易しいものではありませんが、様々対処法が存在します。

 

以下におなじみDJTECHTOOLSのナイスガイEan Golden氏が、テンポの全く異なるトラック同士のミキシング法を解説しています。

FXをつかったり、ループを駆使したり、BPM80のトラックとその倍の160トラックをミックスするテクニックなどを披露しています。ぜひ参考にしてみてください。

(彼自身、わかりやすい例を挙げるためにあえてハッキリとしたチーズィー(ダサめ)な曲を選択しているそうです。)

 

   

DJの機材に対する考え方は意外と保守的

コントローラーの話に戻ります。

最近のNIの方向性の変化を知ってかしらずか、いまだジョグホイール搭載のKontrolS4がTraktorユーザーの間では、揺るぎない支持を得ています。

音楽ジャンル、プレイスタイルを選ばないオールマイティーなコントローラー・インターフェイス「Traktor kontrol S4」。まさにド定番のロングセラーモデル。

[amazonjs asin=”B00EYZMD16″ locale=”JP” title=”Native Instruments 4チャンネルDJシステム TRAKTOR KONTROL S4 MK2″]

   

DJの世界は道具に関しては意外と保守的で、長い間使い込まれて、安定性や信頼性が確立したツールが重用されるのが一般的です。

 

Traktor導師のDJShifteeのように新しいツールを駆使しまくった視覚的にも派手なパフォーマンスに一般の方の目は行きがちですが、彼らはDJの世界の中で極一部の側面にすぎません。

特に職業的なハウス系のDJにとって、プレイテクニックは重要ですが、出過ぎたものは疎まれ、やはり本質的には素材(音源)の選択が最重要であり、そのトラック達に各DJのさりげないスパイスがちりばめられているプレイを良しとする傾向があります。

DJとは基本的に音楽が大好きな人であり、幅広い音楽的知識を身に着けたその道のエキスパートです。

その彼らの最重要な仕事は、(その音楽的能力を用いて)その時と場に適した音楽をセレクトし、また、そこにDJのその人のテイストを加味し、その音源を引き立てせて聞かせること。

したがって、音源のうまみを引き立たせることに忠実な必要最低限のツールがあれば十分と考えるDJも多いのです。

そんな音楽自体が好きなDJたちはなかなか目新しいツールには飛びつきません。そして、その選択自体、決して間違ってはいないはずです。

彼らは、慣れない目新しいツールを使ったためにプレイが不安定な状態に陥ってしまったり、最悪、本番で音が止まってしまうといった事を非常に嫌います。

  

DJたちが長年試行錯誤して選別してきた定番のツールとトラディショナルなプレイ手法を用いることには、キチンとした合理性があるのです。

どちらにせよ、ツールやプレイ手法が保守的であっても、かける音楽には無限大の自由があります。

 

さて、これから紹介するTraktorの新機能である「Stems」や「Remix Deck」と言った革新的で可能性に満ちた機能を見ると、早速手に入れて、どうにかして使いこなそうと躍起になる方もいるかもしれませんが、そんなに焦る必要はないのではと思います。

「Stems」や「Remix Deck」は、従来からある多様なDJプレイの形式の一つに加えられたにすぎません。

今のところは、気が向いたら使ってみようという程度で十分でしょう。

場合によっては自身の音楽ライブラリの充実を優先することの方が重要かもしれません。

 

次回は、そのNative Instruments社渾身の機能である『Stems』と『Remix Deck』とは、一体どんなものなのか観察していきたいと思います。

 

追記(今なら69,800円で買える!)

2016年6月20日

現在、Native InstrumentsがKontrol S5をセールプライスにしています。

ついこの間まで、99,800円だったのに、今なら69,800円で購入可能となっています

NI本家の通販サイトではすでに通常価格である99,800円に価格が戻ってしまっていますが、今のところ(2017年2月24日現在)Amazonでは、69,800円です。

なんなんだ、これ。。驚きのプライスです。[amazonjs asin=”B0157SCCC8″ locale=”JP” title=”Native Instruments DJコントローラー TRAKTOR KONTROL S5″]

次回は、

「Traktorの新機能を用いて多様性に富んだプレイをものにする『StemsとRemix Deck』」

です。