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Native Instrumentsについて、現在わかっていること

By Charlieekelly – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=48146742

今年初めから、この企業の情報が飛び交っていましたが、情報が出そろってきたので以下にまとめておきます。

Native Instrumentsについて、現在わかっていること

Kontakt、Komplete、Maschine、Traktorなどのソフトは、継続しています。既存のライセンスも「無効になった」という公式発表もなし。ただし、この巨大なNIグループは解体され、ブランドごとに別会社になった。

「倒産して全部終わった」わけではなく「借金で行き詰まり、ブランドが売りに出され、別オーナーになった」と言う感じです。

起きたこと

2026年1月末、ドイツの Native Instruments が予備的な倒産手続きに入った。日本でいう「いきなり廃業」ではなく、裁判所のもとで事業を続けながら買い手を探す手続きを開始した。

その後、2026年夏にグループが分かれた。

  • Native Instruments本体(Kontakt、Komplete、Maschine、Traktor、Reaktorなど) → Akai、Moog、Denon DJなどを持つinMusicの傘下になった。
  • iZotope(RX、Ozone、Neutron、Nectar など) → 映像系ソフトのBoris FXへ(情報元:その1その2)。
  • Plugin Alliance / Brainworx → 創業者のDirk Ulrich氏が買い戻した。

5月の発表時点では全部まとめてinMusicに行くように見えたが、実際は夏に分かれた。

ユーザーはどうなるか

Native Instruments(Kontakt など)

今持っている音源・インストーラー・認証は、公式に継続中。Native Access で入れたものは、消えてはいない。Kontakt 用のサードパーティ音源も、プラットフォーム自体も残っている(情報元:NI公式コミュニティ(05/08 CEO発表・FAQ・06/22 inMusic追加発表の一覧))。

iZotope

RXやOzoneのライセンス・サブスクは、Boris FX移管後も有効と案内されている。今すぐ再認証が必要という話ではないが、将来、インストール先がNative AccessからiZotope/Boris側に移る可能性はあるかもしれない(情報元:Behind the stream: iZotope joins Boris FX)。

Plugin Alliance / Brainworx

創業者買い戻し後も「持っているライセンスはそのまま」と創業者本人が明言している(情報元:Plugin Allianceによる詳細情報)。

要するに、プロジェクトが明日開けなくなる事態は全然起きていない。 ただし会社が分かれたので、今後はサポート窓口やアカウントがブランドごとに分かれる可能性はある。

気をつけること

  1. バックアップはいつも通りやる
    ライセンスサーバーが突然死んだわけでは全くない。それでもKontaktライブラリ、インストール済みプラグイン、オーソライズ情報のバックアップは、今回に限らずやっておいた方が良いだろう。

  2. 「NIグループ全部入り」の感覚は捨てた方がいい
    以前はNI / iZotope / PAが同じ傘にあった(※1)。今は別会社(※2)。バンドル、クロスグレード、Native Access一本化といった統合の利点は、これから弱まっていく可能性がある(※3)。

  3. Maschine / Traktor の購入は様子見が良いかも
    この2つのソフトも終了したわけでは全くない。ただしinMusic側にはすでにAkai MPC、Denon、Numarkがある。今後アップデートの優先度が変わる可能性はある。
    個人的には人気のMaschineが消されることはないと考えているが「人気だから大丈夫」ではなく、開発リソースがMPC側に傾く可能性自体は否定しない。

  4. サポート品質が落ちる可能性
    inMusic移管後、人員削減やサポート統合が複数報道されている(情報元:その1その2その3)。しかし公式の人数発表はない。今後どうなるかはわからないが、問い合わせが遅くなることや窓口が変わる可能性。

  5. 新しい買い物はブランド単位で判断する
    個人的には「NIだから安心」は過去の話と考えるようにしている(特にTraktorまわり)。
  • サンプラー/制作スイート → inMusicのNI
  • 修復・マスタリング → Boris FXのiZotope
  • アナログ系プラグイン → Ulrich側のPA/Brainworx
    と分けて考える。

現時点でやる必要がないこと

  • 全プラグインの買い直し:ライセンス・認証はすべて有効なまま継続中
  • 別のサンプラーへの焦った移行:Kontakt本体とサードパーティ音源は当面動き続ける
  • 関連プロジェクトの放棄:「NIが消える」は現時点では起きていない。NIは倒産手続きを経て買収された(消えたわけではない)。

どれも現時点では不要。

inMusic について

Native Instrumentsの大部分の資産を継承したinMusic社。

この会社は、アメリカの非上場の楽器・音響メーカー連合(持株会社)。本社はロードアイランド州Cumberland。創業者のJack O’Donnell氏がオーナー兼CEOを務める非公開会社で、投資ファンドの傘下ではない。

ひとことで言えば、「有名ブランドを買い集め、DJ機材・制作機材・楽器を幅広く売る会社」。ソフト企業というより、もともとハードウェアの塊。

始まりは1992年、O’DonnellがDJ機材のNumarkの資産を買い取ったこと。その後も同じやり方でブランドを増やし、Alesis、Akai Professional(MPC)、M-Audio(いずれも2012年)、Denon DJ(2014年頃)、Rane(2016年)、2023年6月に Moog、2026年に Native Instrumentsを加えてきた。

制作ならAkai/M-Audio/AIR、シンセならMoog、DJならNumark/ Denon/Raneなどが集まる大所帯。 ただしKorg、Yamaha、Roland、Behringer、Arturiaなどは傘下にないので、電子楽器の大半を握っているとまでは言えない。それでも有力ブランドのかなりの部分が一社に集中した状態なのは確か。

そして2026年、業界を代表するメーカーNative Instrumentsを買収。ハードウェア寄りだったinMusicが、KontaktやKompleteといった大型ソフトも抱える形になった。

経営のやり方は結構はっきりしてる

苦しい老舗を買う。ブランド名は残す。製造・サポート・管理はグループでまとめる。
その過程で人員や生産拠点を整理する。Moog買収後のAsheville工場の人員削減と台湾への生産移管(2023年、PitchforkDJ Magなどが報道)や、NI買収後のベルリンのスタッフ数十人規模の削減報道(CDM)も、この方式に沿っている(それ以外の情報元:その1その2)。

良い面は、潰れるブランドを拾って製品供給を続ける点。
厳しい面は、ブランドは残しても、元のチームや作り方はかなり変える点。

inMusic は「Kontaktを消す会社」というより「MPCやDenonと組み合わせてグループの一部にする会社」と考えられそう。

製品は当面残りやすい。しかし、MaschineとMPC、TraktorとDenonのように社内で競合する製品の扱いと、サポートの手厚さは今後どうなるのかなと。長いTraktorユーザーの自分にとってはちょっとだけ不安ですが、新たな展開も期待したいです。


お詫び:

ここ最近、ブログの更新をお休みしていました。大変申し訳ないです。身の回りのことが大分落ち着いて来たので、ブログの更新に集中したいと思っています。よかったらこれからもよろしくお願いいたします!