去年11月に、リリースされたiZotopeの最高バンドル「Music Production Suite 2(MPS2)」。
これさえあれば、高い次元の音楽制作(ミックス・マスタリング・ボーカル処理・ノイズリダクションなど、あらゆる専門分野)の環境が整うプレミアムなバンドルです。しかも意外と簡単操作。
3月に入りその「MPS2」の大型のセールが復活しています。前回のブラックフライデーセールと同額または、より安くなった製品があります。
iZotope MPS2(Music Production Suite 2)の価格と購入の際のヒント
前回のセールでは、Ozone Elements(もしくはNeutron Elements)所有者さん用の「Elements製品 → MPS2:クロスグレード版」が、999ドル→499ドルと、相当お得な施策でした。
しかし、今回のセールは、唯一その「Elements版からのクログレ版」のみセール対象から外れています。
しかしながら、iZotopeの製品を何も持っていない方用の「通常版 MPS2」の「セール価格の調整」が入り、こちらが〔999ドル→499ドル〕になっています。(前回のセールでは、〔999ドル→599ドル〕 でした。)
〔通常版:MPS2〕「何もiZotopeの製品を持っていない方」もしくは「Elements製品のみ所有している方」用のセール
通常価格:999ドル ➡️ セール特価:499ドル
*前回のブラックフライデーセール時に付けた最安値から100ドルOFF。 今回はかなりお得です。
*別途ポイント(バーチャルキャッシュ)が、£18.76(約2,780 円)分と Rewards+ Tokensが7.7ポイントがおまけで付きます。(Rewards+ Tokensは、サンプルパックなどと交換可能です。サンプルパックは1ポイントからあります。)
通常版のMPS2のセール価格に大幅な価格調整が入ったようです。
前回のセール価格が最安値の599ドルだったので、今回はそこから更に100ドル引きになっています。
iZotopeの製品を何も持っていない方も半額です。
Standard版の製品を一個以上所有している方用セール
通常価格:999ドル ➡️ クログレ価格:799ドル ➡️ セール特価:399ドル
*前回のブラックフライデーセール時に付けた最安値と同額。
*別途ポイント(バーチャルキャッシュ)が、£15(約2,200 円分)と Rewards+ Tokensが6ポイントがおまけで付きます。Rewards+ Tokensは、サンプルパックなどと交換可能です。サンプルパックは1ポイントからあります。
Advanced版の製品を一個以上所有している方用のセール
通常価格:999ドル ➡️ アプグレ価格:499ドル ➡️ セール特価:299ドル
*別途ポイント(バーチャルキャッシュ)が、£11.24(約1,690 円分)と Rewards+ Tokensが4.4ポイント付きます。Rewards+ Tokensは、サンプルパックなどと交換可能です。サンプルパックは1ポイントからあります。
Music Production Suite 1を所有している方用のセール
通常価格:999ドル ➡️ アプグレ価格:499ドル ➡️ セール特価:299ドル
*こちらも前回のブラックフライデーセール時に付けた最安値と同額。
*別途ポイント(バーチャルキャッシュ)が、£11.24(約1,665円)と Rewards+ Tokensが4.4ポイント付きます。Rewards+ Tokensは、サンプルパックなどと交換可能です。サンプルパックは1ポイントからあります。
Music Production Suite 1を所有している方用のセール
*こちらも前回のブラックフライデーセール時に付けた最安値と同額。
通常価格:999ドル ➡️ アプグレ価格:399ドル ➡️ セール特価:249ドル
*別途ポイント(バーチャルキャッシュ)が、£9.36(約1,390 円)と Rewards+ Tokensが3.7ポイント付きます。Rewards+ Tokensは、サンプルパックなどと交換可能です。サンプルパックは1ポイントからあります。
*前バージョンのMusic Production Suite 1からの変化ですが、
Nectar 3の更新
RX7の更新
そして、VocalSynth2と新Insight 2、Melodyne 4 essentialが新たに付いてくるのは、かなりのインパクト。
通常版のMPS2が999ドル→499ドルとブラックフライデーセール時より100ドル下がりましたが、その他のアップグレード価格は前回のブラックフライデーセールに付けた最安値と同額。ジワジワ下がって来ている印象でしたが、MPS2の最安価格は、今のところ、この辺が底なのかなぁと感じています。(先のことはわかりませんが。)
Music Production Suite 2とは?(再掲)
今回リリースされた「Music Production Suite V2」は以前のバージョンの「Music Production Suite V1」から大幅な改定が入っています。
(V1からV2への変更点は後述します。)
「この記事で取り上げていること」
の3点です。
iZotope MPS2は、
音楽製作者でもとりわけ「マスタリング or ミキシング・エンジニアではない方」にとって革命的なツール群。
数回のクリック操作で、ミキシング+マスタリング+ボーカル処理+(ノイズ除去などの)オーディオ修復などが自動的に完了します。
とにかく楽が出来て、仕事がスピーディーに進みます。仕上がりの品質も高いのが特徴です。
自分の製作時間を作曲などに集中したい音楽家さんやマスタリング初心者の方にとっては救世主になりえるものです。
(もちろんMPS2は、現代最先端のマスタリング・ミキシングエンジニアの方々にも愛用されている奥が深いツール群です。)
ちなみに、iZotopeの製品は個別に買うよりバンドルで買った方が安いです。金額的に大きな差があるのを覚えておいてください。
現在の「Music Production Suite 2 クロスグレード版」超安売りキャンペーンは、特に新規さんやOzoneなどのiZotopeの単体製品所有者さんにとってはかなりお得な施策です。
とはいえ、もMusic Production Suite 2バンドルは、そこそこ大きな買い物になるので、悩まれる方も多いかもしれません。
そこで、今回は、そんな方のための「iZotope最高バンドル Music Production Suite2 の買い物ガイダンス」的な記事になっています。
Music Production Suite2は内容が濃いので、今記事も結構長めです。ご容赦ください。。
このMusic Production Suite2の通常価格は、999ドルと価格もビックです。
それが、今回のリリース&ブラックフライデー・セールでは、大幅に値引きされています。
そこそこな値段がしますが、専属で優秀なマスタリングとミキシングの専門のエンジニアと、オーディオ修復に特化した音響技術者のチームをフルタイムで雇うことが出来ると考えると、非常に魅力的です。
*すでに、
Ozone StandardやAdvanced
Neutron Standard、Advanced
RX Standard、Advanced
などのiZotopeの高額製品をお持ちの方は、上記で紹介した特別価格が用意されています。
「Music Production Suite 2」の内容はどんなもの?
新しくなったMusic Production Suite2は、総額2000ドル以上の音楽制作ツールのセット。その数、合計で30種類の個別のプラグインで構成された以下の8つの製品が収録されています。
Music Production Suite2に収録されている主なソフトウェア
Neutron 2 Advanced(Music Production Suite V2.1では、Neutron3にアップデートされています)
Ozone 8 Advanced
Tonal Balance Control
新RX-7 Standard(RX6から更新)
新VocalSynth 2(VocalSynth1から更新)
新Nectar 3(Nectar2から更新。Celemony Melodyne 4 essentialとRX 7 Breath Controlも収録)
新Insight 2(新たに追加)
Celemony社のMelodyne 4 Essentialが含まれている。。
* MPS2からはTrash 2は収録されなくなりました。10月の施策でMPS1(MPS2へのアプグレ権付き)を手に入れた方は、これに関してはラッキーでしたね。MPS1にはTrash2が入っていたので。。)
Music Production Suite2 とは?
Music Production Suiteは、iZotopeの製品群の中でも、作曲から製品に仕上げるまでの工程で必要になる強力なソフトウェアをまとめた「総合音楽制作ツール」です。
iZotop自身も、
「Music Production Suite2は、業界最高のミキシング、マスタリング、ボーカル制作、オーディオ修復ツールだよ!」
と言っていますが 、これは、間違いではないでしょう。
iZotopeは、どの製品も業界の最先端を突っ走っています。
特にiZotope独自の「数回のクリックで作業が完了する超簡単操作」(いわゆるアシスタント機能、自動化機能)は、他社の追随を許さず独走状態。
それらの機能がもたらす仕上がりの完成度は、多くの音楽家から高い評価を得ています。
人の時間は有限なので、ミキシング・マスタリングエンジニアではない音楽家さんは、その方面は、極力iZotopeの自動化ツールに任せて、空いた時間を自分の得意なフィールドにあてるのも有益な方法でしょう。(ミキシング・マスタリングは、習得と作業に膨大な時間を必要とします。)
MPS1からMPS2になって大きく変わったところは?
今回のMPSのV2へのバージョン更新では、特にNectarとRXが大きく生まれ変わっています。
Nectar3
「Nectar3」には新たに以下の2つの機能が追加されました。
1. ボーカル処理の自動化機能
* Vocal Assistant(ワンクリックのボーカル処理自動化機能)
と
* ボリュームオートメーションの自動化
が装備されるようになりました。
(これが非常に画期的。)
高性能なダイナミックEQを備えた
「フォローEQモード」
「オートレベルモード」
の2つの機能で、音量にむらがでるボーカル処理で大変面倒な「ボリュームオートメーション」を書く作業を、自動化できるようになっています。
もうこれ、WavesのVocal Riderいらないんじゃないかな。。
2. Nectar3とTonal Balance Controlの間の連携機能の追加
Ozone8とNeutron2の間の連携機能は既に存在していましたが、MPS2からはNectar3との連携も可能になっています。
これの何が凄いかと言うと、Ozone8とNeutron2とNectar3の間をシームレスに行き来しながら、マスキング(トラック同士の音のかぶり)とトーナルバランス(ミックス、マスタリング時の音楽的に良い状態になるバランス)を整えることが可能です。
ミックス時の問題解決に非常に役立つ機能です。
Celemony Melodyne 4 essentialとRX 7 Breath Controlも収録
また、ピッチ修正機能として、Celemony Melodyne 4 essentialが新たに追加されたのも面白い変化でしょう。
RX 7 Breath Controlでは、録音したボーカルの音質を損なうことなく、ブレスの音量だけをプラグインで簡単に除去、または均一に低減させることが出来るそうです。一つ一つのブレスの音にオートメーションを書く必要性から開放されるようになりました。
新RX7
話題のRX7です。
ソフトウェアの機械学習機能(AI)が、自動で修復を行う「Repair Assistant」が新たに搭載されています。
数回のクリックで、クリックノイズ、ポップノイズ、ハムノイズ、定在ノイズを修正します。
(とうとうRXにもiZotopeお得意の自動化機能が追加)
そしてもう一つの真打ちが、Music Rebalance機能
モジュール単位で、ミックスされたの各楽器の音量を再調整することで、ボーカルだけを分離したり、ベースだけを抜き取ったりと魔法のような作業が可能になっています。
ライブ録音、生録時にどうしても入ってしまうノイズや、他の楽器の音声の除去などを行う機能です。マスタリング時にステム化できなかった音源のミックス修正にも役立つようです。
これら以外にも、
新VocalSynth 2の更新。
新Insight 2が新たに追加されています。
参照元:
iZotope日本代理店のtacsystem様の紹介ページ:
http://www.tacsystem.com/products/izotope/music_production_suite_2.php
iZotope社の紹介ページ:
https://www.izotope.com/en/products/mix/music-production-suite.html
それでは、これから、Music Production Suite2に収録される製品群を順に見ていきましょう。
ミキシング用総合ツールのNeutron2はAdvanced版を収録
2019年8月3日追記:
現在最新のバージョンであるMPS 2.1では、新しくなったNeutron 3にアップデートされています。
革新的なオーディオ分析・アシスタントの機能で短時間に最高のミックスを作り上げる次世代型チャネルストリップ・プラグイン。
数々の受賞歴に輝くiZotopeの最高峰の音質を実現するプロセッサーを搭載し、音楽に使用される全てのパーツに最適なミックスを提供します。
アシスタントがトラックのサウンドを分析し、サウンドのタイプごとに最適なプリセットをカスタマイズ。
バスドラムとベースラインなど、周波数のぶつかるサウンドを一つのプラグインウィンドウで同時に調整。
http://www.tacsystem.com/products/izotope/music_production_suite_2.php
ミキシング特化のツールNeutron2。これ一つで大まかなミキシングは完了できます。
トラックアシスタントを利用すれば、数回のクリックでミキシングが完了します。
また、トラックアシスタントのミキシング結果を参考にすることで、ミキシングの学習にも役立ちます。
また、Neutronにはとても優秀なマスキング機能がついているので、トラック間の音域のぶつかり合い(音のかぶり)の調整が、シンプルな操作で行えるようになっています。(数多くあるEQプラグインで、でここまで簡単にマスキングの処理が出来るのはNeutronだけです。)
このMusic Production Suiteには、Neutron2の標準バージョンであるStandard版ではなく最上位のAdvanced版が入っています。
NeutronのAdvanced版とスタンダード版の違い
1.Advanced版は、EQ、コンプレッサー、エキサイター、トランジェントシェイパーの各機能を、個別のプラグインとして動作させることができます。
2.Advanced版のみサラウンドがサポートされています。
Neutronは軽量級なプラグインではないので、各機能が個別で立ち上げられるのは、Advanced版の大きな利点。
NeutronのEQやコンプなどの各機能が気に入っているのなら、比較的負荷が軽い個別の機能が単独で使えるAdvanced版の方がより良い選択です。
ミキシングが上達して、「トラックアシスタントはもう必要ないなぁ」と思うようになった場合でも、高品質なNeutronの各機能が個別にストレス無く使えるのは効率的です。
Advanced版ならNeutronのダイナミックEQ(これが非常に良い出来)も個別で使えます。
(起動させるとすべてのツールが一緒に立ち上がってしまう)Standard版ほど重くならないので、使い勝手が良いです。
個別に起動できると小回りが利くので、Neutronの各プラグインの使用頻度が増えるはずです。
参考記事:
マスタリング総合ツールのOzone8は最上位版のAdvanced版が入っている
Ozone 8 Advanced: 新世代のマスタリングツール
Ozone 8はマスタリング・ワークフローに必要とされる12個のマスタリング用プロセッサーに、AIによるアシスタントを搭載した、新世代の統合型マスタリングツール。マシーンラーニングによるアルゴリズムが楽曲を分析し、EQやコンプなどマスタリングのスタート地点を設定。作業開始までの時間を大幅に節減できます。また、リファレンス機能では、お気に入りの楽曲の音響特性をあなたの楽曲のマスタリングに適用出来ます。http://www.tacsystem.com/products/izotope/music_production_suite_2.php
Ozone8一本で、マスタリングが完成できる流れになっています。
しかも、(誤解を恐れずに言うと)プロレベルのマスタリングの知識がなくても、Ozoneならなんとかなってしまう(ハイレベルなサウンドをいとも簡単に獲得できてしまう)恐ろしいソフトです。
かなりの部分の操作系統が、Ozoneにおまかせ(自動化)可能です。
Ozone8になってから導入された新機能「マスターアシスタント」が凄い
Neutronのトラックアシスタントのマスタリング版的機能です。マスタリングの自動化を実現しています。
そのマスターアシスタントの中でも熱いのが、「リファレンス(参照機能、真似っこ機能)」です。
これは、ご自分の目標とする曲(リファレンス曲)をOzone8に取り込むと、ソフトが自動的に、製作中の曲をそのリファレンス曲の状態に近づけつつ自動で仕上げてくれる機能。
「このアーティストの曲みたいにマスタリングしてよ」とOzoneに命令すると、ササっとそのように仕上げてくれる非常に便利な機能です。
もちろん自動でマスタリングされた結果を、ユーザー自身が自由に調整していくことも可能です。(この自分で調整してく流れもやりやすいものになっています。)
また、Ozone8は、通常、DAWのプラグインとして使用する場合が多いかもしれませんが、スタンドアローンでも(DAWを起動させず単独でも)使用できます。
したがって、マスタリング時、CPU負荷が高くなりがちな場合でも、DAWを起動させずにOzoneのみでマスタリング作業が出来るので効率的です。
MPS2にはOzone8 Advancedが収録されている
Music Production Suiteに収録されているのは最上位版のOzone8 Advancedです。
標準バージョンのSatandard版と違い、Ozone8に付属する各プラグインを個別に使用することが出来きます。マシンへの負荷の節約に寄与します。
また、Advanced版では、スペクトラルシェイパーやビンテージEQ、ヴィンテージコンプレッサーなどの各機能が追加されています。
加えて、Advanced版の独占的機能で特に重要なのが、(iZotopeの新しい機能である)Tonal Balance Controlが使用できることです。
⬇️
曲の音色バランスを絶妙な状態に持っていける最新ツール「Tonal Balance Control」
iZtopeのTonal Balance Controlについて
トーナルバランスコントロールは、インサートされたトラックのターゲット曲線との相対的なスペクトラムメーター情報を表示します。
これは、ミックスやマスタリング時に発生するトーンバランス的な問題に取り組む際に特に便利な機能です。
トーナルバランスコントロールは、低域のパワー不足、あるいは高域の鮮やかさ不足など、ミックスやマスタリング時に起こり得る問題を解決する上での道標、あるは改善の文脈を提供することで、プロフェッショナルな完成度のマテリアル作りの手助けをします。
Tonal Balance Controlは、Ozone8とNeutron2とNectar3の間をシームレスに行き来しながら、マスキング(トラック同士の音のかぶり)とトーナルバランス(ミックス、マスタリング時の音楽的に良い状態になるバランス)を整えることが可能です。
Neutron2単独では、トラックアシスタント機能による自動的なミキシングとトラック間のマスキング作業は可能になっていましたが、Tonal Balance Control機能を使うことにより、ミキシング時の複数のトラック(またはNectar3を挿しているヴォーカルトラック)のトーナルバランスを簡単に整えることが可能になっています。(これは、非常に画期的な機能です。)
また、トーナルバランスコントロールには、目標とする曲を読み込んで、マスタリング時のバランスを調整できるリファレンス機能がついています。(好きな曲のトーナルバランス状態を真似っこ出来ちゃうわけです。)
楽曲の音を絶妙な状態に持っていける機能。この機能のためにStandardからAdvancedにアップグレードも考えたくなる。。
Ozone8に関する参考記事:
魔法の剣「RX7 Standard」も入っている
iZotope RXは、ノイズ除去・オーディオ修復のパイオニアです。
最新のRX7は、オーディオ修復の自動化のみではなく、ミュージックリバランス機能(曲のボーカルと音楽を分離できる機能)を備えた強烈な進化を遂げています。
リペアアシスタント機能(修復自動化機能)
この業界初のインテリジェント修理ツールは、ノイズを分析してクリッピング、クリックなどを検出するためにオーディオを分析し、3つの異なる強度で3つの処理提案を提供し、これまで以上に迅速に修復を行います。
(iZotope社の紹介文の意訳)
iZotopeのOzoneやNeutronではおなじみのアシスタント機能(自動化機能)が、とうとうRXにも追加されました。
RXにお任せで、クリッピング、クリックなどのノイズが入ったオーディオファイルの問題を、ボタンを数回押すだけで簡単に修復することができてしまいます。
RXにお任せしちゃう手もありますが、RXの提案を叩き台に、より細やかな調整をユーザーが気軽に行える流れになっています。
ボーカルなどのノイズ除去だけじゃなく、昔のレコード音源などの修復がはかどるでしょう。
ミュージック・リバランス機能
すでにちまたで噂になっている凄い機能。
曲中からボーカルのみを摘出できる魔法のようなツールです。
「ミュージック・リバランス機能」は、機械学習で訓練されたアルゴリズムを使用して、ボーカル、ベース、パーカッションなどの楽器をインテリジェントに識別して音源分離を行います。
ユーザーはステレオオーディオトラックの要素を個別に強調することができ、マルチトラックなしでミックスを調整することができます。
ボーカルの削除/分離が可能に
ボーカルの要素を削除してインストゥルメンタルバージョンの曲を作成するか、個々のトラックやステムにアクセスすることなくボーカルを分離してリミックスを作成することが可能です。
(iZotope社の紹介文の意訳)
これ色々なことに使えます。 昔の曲などから必要な部分のみ摘出して、それを素材に曲作りをしたり。昔の曲などのパート単位の分離化が簡単に行えるので、DJ用途やリミックス作業に使いたい。
サンプリングが超はかどる。EDMプロデューサーの場合は、Bassのみを摘出することなどにも重宝するはずです。
ボーカル編集に特化したツールNectar3 も収録
Nectar 3: ボーカルのミックスに必要な全てを
Nectar 3はプロフェッショナルなエンジニアのミキシング用途からクリエイティブなボーカルプロダクションまで、幅広い用途をカバーする最先端のボーカル用のチャネルストリップ型プラグインです。
ピッチ補正、EQ、コンプから空間系、ハーモニーの生成にモジュレーション系まで網羅。
更にiZotopeならではのAIによるアシスタントテクノロジーやUnmaskの機能がボーカルやぶつかる帯域にある楽器を解析して自動で各プラグインのパラメータを設定。短時間でハイクオリティなボーカルミックスを実現します。
Nectar 3 also includes:・Celemony Melodyne 4 essential: Nectarにもモダンなオートピッチエフェクトを搭載していますが、より精細な手作業でのピッチ補正用途として、Celemony Melodyne 4 essentialを同梱しているので、オフラインでの繊細なピッチ補正もプロフェッショナルなクオリティで。
・RX 7 Breath Control: iZotope RX Breath Controlをバンドルしているので、録音したボーカルの音質を損なうことなく、ブレスの音量だけをプラグインで簡単に除去、または均一に低減させることが出来ます。一つ一つのブレスの音にオートメーションを書く必要はありません。
http://www.tacsystem.com/products/izotope/music_production_suite_2.php
11月2日にリリースされたばかりのNectar 3は、待望のiZotopeお得意のアシスタント機能(自動化ツール)「ボーカルアシスタント機能」が追加されています。
Nectar3の主な新機能については前述していますが、一応再掲載しておきます。
Nectar3には、新たにVocal Assistant(ワンクリックのボーカル処理自動化機能)と、ボリュームオートメーションの自動化が装備されるようになりました。
高性能なダイナミックEQを備えた「フォローEQモード」と「オートレベルモード」で、音量にむらがでるボーカル処理で大変面倒な「ボリュームオートメーション・コントロール」を、自動化できるようになっています。
WavesのVocal RiderとMeldaのMAutoVolumeの独壇場だった領域に殴り込みですかね。
Tonal Balance Controlとの連携機能の追加
Ozone8とNeutron2の間の連携機能は以前から既に存在していましたが、MPS2からはNectar3との連携も可能になっています。
これの何が凄いかと言うと、Ozone8とNeutron2とNectar3の間をシームレスに行き来しながら、マスキング(トラック同士の音のかぶり)とトーナルバランス(ミックス、マスタリング時の音楽的に良い状態になるバランス)を整えることが可能です。
ミックス時の問題解決に非常に役立つ機能です。
これでボーカル処理に必要な大抵のことは、Nectar3一台でまかなえるようななりましたね。。
Celemony Melodyne 4 Essential
こちらもMusic Production Suite V2で、新たに仲間に加わったツールです。
Melodyneは、世界で一番利用されているピッチ補正ソフトウェアです。
なんとMelodyneが付属するとは。。
Melodyneの詳しい解説は、Melodyne日本代理店のフックアップ様のページを参考にしてください。
付属するのは下位版のEssentialですが、普通に買うと99ユーロ。
VocalSynth2
VocalSynth 2: 最先端のボーカルシンセエフェクト
VocalSynth 2はレトロなボコーダーなどのスタイルから、最先端のシンセサイザーによるバックトラックに負けない、厚みのあるボーカルサウンドまで、幅広いサウンドに対応することが出来るボーカルシンセサイザー・エフェクトです。
Vocoder, Compuvox, Polyvox, Talkbox, そして人の声道をコントロールするBiovoxと5つのボーカル変調モジュールに7つのスタジオ品質のエフェクトを合わせることで、ボーカルサウンドに無限の可能性が広がります。
自動でボーカルのメロディに合わせてシンセボイス化するAutoモード、MIDIコントロールモード、更に別のトラックのサウンドをボーカルシンセ化するサイドチェーンを搭載。
http://www.tacsystem.com/products/izotope/music_production_suite_2.php
VocalSynth2は、ボーカル用マルチエフェクト・プラグイン。
こちらもMPS2の11月2日のアップデートで、VocalSynth V2が収録されるようになりました。
VocalSynth2がどんなものかは動画をご覧になる方が手っ取り早いと思います。
またVocal Synth2では、Neutron2とTonal Balance Controlとのシームレスな連携が可能になっています。
例えば、他のトラックに挿しているNeutron2側のマスキング機能で、Vocal Synth2を挿しているトラックとのマスキング調整が可能です。
Insight 2
Music Production Suite V2には、新しいメーターリング&オーディオ分析プラグインのInsight 2。
マスタリング、ミックス時にサウンドを整える時に必要になる分析ツール。
通常価格は199ドルです。
Music Production Suite 2はどんな人に必要なのか?
Music Production Suite2には、Ozone8とNeutron2(どちらもAdvanced版)と言う業界最高クラスの「マスタリング」と「ミキシング」用の総合ツールが収録されています。
したがって、(極論かもしれませんが)このバンドルがあれば、曲を製品まで仕上げるのに、他に必要なものはないです。
(もちろんシンセなどの音源と飛び道具系のFXはのぞきますよ。)
特にマスタリングとオーディオ修復は、これで一本でOKでしょう。
一方、ミキシングに関しては、Neutron2は非常に良くできたツールですが、決して軽いプラグインではないです。したがって、かなりのハイスペックPCを使用していない場合は、全てのトラックに挿すのはあまり現実的ではない。
だからこそNeutron2のプラグイン各種が単独で使用可能なAdvancedの方が大きなアドバンテージがあります。(Standard版はEQなどを単独で使用できない。)(MPS2にはNeutron2 Advancedが収録されています。)
ハイスペックPCを使用していない場合は、Neutron2の総合機能(トラックアシスタント)は、重要なトラックやバスに挿して、残りのトラックはNeutron2の各プラグインを単独で使用してみたり、(DAW付属などの)他の軽いEQやコンプなどを使ったりと工夫するのが良い方法でしょう。
Ozone8もNeutron2も、後ほど紹介するRX7も(加えて、新しく生まれ変わったNectar3も)、トラックアシスタントに代表される機械学習機能による提案機能(自動化機能)が大きな魅力になっています。
他の名だたるプラグインメーカーでここまで自動化が進んだ総合ツールはありません。この領域は、iZotopeの独走状態。
例えば、DAWを使っている人にも色々なタイプの方がいらっしゃると思います。
作曲家
歌い手
サウンドデザイナー
DJ
ミキシング・マスタリングエンジニア
など。
現在は、
ある程度作り込まれたデモ曲をクライアントに提出する必要があったり、ネットなどを利用して個人で曲の販売までやりたかったり、完成曲をYouTubeやSoundcloudなどにアップしたい方が増えています。
しかし、一般的に、作曲家さんやDJさんなどは、エンジニアではないし、ミキシングやマスタリングの領域は畑違いです。
当然ですが、ミキシング・マスタリングの技術は、作曲などとはまた違った知識と技術と才能が求められます。
それらをまた一から勉強し始めて、ある程度のレベルまで高めるのは無駄ではないですが、かなりの時間と労力が必要でしょう。いや、実際いくらあっても足りないのではないでしょうか。(マスタリングもミキシングも、めちゃくちゃ奥の深いプロの領域なので。。)(私は結構好き分野なので勉強中ですが、一生かかっても大したところまでは到達できないでしょう。)
したがって、ミキシングやマスタリングはその専門家に依頼するのが近道なのですが、自分の好みの状態に仕上げてくれるとは限らない。また、お金も毎回かかる。(もちろん良いエンジニア様に出会えれば最高ですが。。)
最近のiZotopeは、新しいOzone8やNeutron2、RX7、Nectar3で、その辺の層をダイレクトに狙って製品を更新してきています。
もちろん自動化機能は完璧ではありません。
しかし、素の状態から、かなりのレベルまでブラッシュアップされるのが、使用してみるとしっかりと感じられるはずです。(仕上がりの品質の高さに驚かれると思います。)
iZotopeの自動化系ツールの流れ
トラックを作る
⬇️
ミキシングが必要 ➡️ Neutronにある程度任せる。
⬇️
マスタリングが必要 ➡️ 大まかな部分はOzone8にお任せ。その後自分で軽く手直し。
⬇️
デモ提出。製品化終了。YouTubeやSoundcloudにアップロード。
NeutronやOzoneは、アシスタント機能(自動化機能)にある程度任せることも可能だし、自分で作り込む流れもしっかり用意されているので、両方をバランスよく使いこなしていくことが可能です。
Music Production Suiteは、iZotopeの(自動化ツールなどの)最新技術の力を借りながら「PC内部のホームスタジオ」で、楽曲を完成品まで一気に仕上げてしまいたい方にとって最も適したバンドルと言えるでしょう。
iZotope RX7は必要か?
生取りする人や劣化したレコードなどの音源を扱うDJさんなどは、あるとむちゃくちゃ重宝すると思います。雑音などの除去機能が半端なく優れています。
しかも、この新しくなったRX7は、アシスタント(自動化)機能が付きました。
作業の大幅な効率化にダイレクトに効いてきます。強力な時短ツールになります。
加えて、(前述していますが)RX7には、(DJさんなど)サンプリングで曲作りをしていく方にも重宝する、ミュージックリバランス機能が追加されています。
これも魔法のような凄い機能。
曲中のボーカルと楽器の分離が可能。ボーカルだけを摘出したり、ボーカルのみを引っ込めたり出来る・・。
アイディア次第で、使い方は無限大。
資料(iZotope製品の日本語マニュアル)
iZotope社の主要な製品には日本語のマニュアルがあります。
無料で誰でも読むことが出来ます。
RXの日本語マニュアル
https://s3.amazonaws.com/izotopedownloads/docs/rx700/ja/index.html
Ozoneの日本語マニュアル
https://s3.amazonaws.com/izotopedownloads/docs/ozone801/ja/ozone-overview/index.html
Neutronの日本語マニュアル
https://s3.amazonaws.com/izotopedownloads/docs/neutron201/ja/index.html
Ozone マスタリングガイドブック(PDF)
iZotope日本代理店のTacsystem様作成のガイドブック
(Ozone7用ですがOzone8でも操作は踏襲されているので参考になるかと思います。マサヤン様情報ありがとうございます!)
http://www.tacsystem.com/products/izotope/ozone.php
(http://tacsystem.com/support/download/iZotope/Mastering_Guide_2015_Japan.pdf)