Melda Productionの隠れた良プラグイン「MPhatik」。アンプ、コンボリューションリバーブ(IR)、コンプレッサーを搭載したユニークなダイナミック・マルチエフェクトです。
MPhatik
MPhatikは、アンプ、コンボリューションリバーブ(IR)、コンプレッサーを搭載したユニークなダイナミック・マルチエフェクトです。
役割がちょっと分かりにくいのですが、使ってみるととても優れたツールだと実感できると思います。
MPhatikは、プラグインに内蔵された多彩な機能で(コンプレッサーやサチュレーションなど様々な処理が加えられた)ミックス内に埋もれてしまった各サウンドのダイナミクス、存在感をよみがえさせることを目的に開発されたツールです。
特にドラムやベースで顕著に発生するダイナミクスの消失に対処する新しいアプローチです。
開発元のMelda Productionによる(地味な)紹介動画(6分39秒・日本語字幕可能):
MPhatikは、AMP(ディストーション)機能とコンプレッサー、コンボリューション・リバーブ(IR)と3つの機能を持つハイブリッドエフェクター。
全体のサウンドの中に埋もれてしまったドラムやベース、シンセなどのサウンドを「リッチに」「太く」「鮮やかに」「タイトに」にして、サウンドが本来持っていた存在感・ダイナミクスをよみがえらせることができる便利なプラグインです。
MPhatikのメイン機能
MPhatikは、オーディオの本来のダイナミクスを維持したまま、ディストーションやコンプレッション、リバーブなどを加えることができるプラグインです。
- AMP(ディストーション)
- コンプレッサー
- コンボリューション・リバーブ
これらの各機能は、オンとオフ切り替えが可能です。
したがって、ディストーションやIR単独のプラグインとして気軽に利用するのも良いし、全ての機能をミックスしてオリジナルのエフェクトを作ることもできます。(3つすべての機能を使ってもCPU負荷は軽めです。)
AMP:ディストーション・ユニット
過去のAMPのUIはアイコン付きでしたが、最新のUIでは文字のみに変更されています。
MPhatikに付いているディストーションユニット『AMP』はかなり簡易的なもので、設定を追い込むことはできません。
しかし、どれも非常に良い味付けになっています。
このAMPは、Melda Productionが独自に開発しているディストーションアルゴリズムを搭載しています。
3種類のアルゴリズムのどれかを選んで、ドライブとキャラクターのツマミで適当に微調整。これだけで味のある歪みを演出できる、いわゆる「魔法のツール」です。
コンボリューションリバーブ
一方で、コンボリューションリバーブは多彩な設定を有しています。
プレート・リバーブからホール、ルームなどのベーシックなものから、サウンドデザインやスペクトラルなどの実験的なあらゆる種類のインパルス・レスポンスがすでに入っています。
加えて、ユーザー自身のIRファイルを読み込んで使用することも可能になっています。
コンプレッサー
ベーシックなコンプレッサーセクション。
このMPhatik、(MeldaProduction製品の中では)わりと簡単に操作が可能で心地よいエフェクトをサクッと得られる良プラグインです。
MPhatikでパーカッションを強化する方法(10分・日本語字幕可能):
MPhatikの詳細
サウンドのダイナミクスを取り戻してくれる『MPhatik』
アンプ/ディストーション/サチュレーションは、あらゆるオーディオに暖かみを加えるための古典的な方法です。
問題は、これらの処理は、その性質上、ダイナミクスを除去してしまうことです。
MPhatikは、通常のアンプ/ディストーション/サチュレーションとは違う働きをします。
*MPhatik自身が以下の働きをします。
入力レベルエンベロープを分析。
⬇️
オーディオ信号を処理。
⬇️
出力のレベルエンベロープを分析。
⬇️
出力エンベロープが入力と同じになるようにゲインを適用します。
言い換えれば、MPhatikは、ダイナミクスを取り戻してくれるのです。
デジタル・ディストーション、アナログ・サチュレーション、テープなど、従来の方法では避けられなかったダイナミクスを失うことなく、どんなオーディオ・マテリアルでも音圧を上げることができるようになりました。
どんなソースに対しても音階を上げるために必要なすべてのツールがMPhatikには揃っています。
MPhatikには、パワフルなアンプ・シミュレーター、コンボリューション・リバーブ(プレート・リバーブからホール、ルームなどのあらゆる種類のインパルス・レスポンス、またはあなた自身のIRファイルを搭載)、コンプレッサーが搭載されています。
それだけでは物足りない場合は、サイドチェイン入力を使ってMPhatikを駆動させ、独自のツールでオーディオを処理して、MPhatikにダイナミクスを復元させることもできます。
MPhatikを使えば、あるトラックのダイナミクスを別のトラックに適用することが可能になります
ドラムのレベルエンベロープをパッドに適用して、リズミカルなパッドにしてみませんか?
ドラム同士のコリジョン(衝突)を避けるのはどうでしょうか?
これらは、ゲートやコンプレッサーのような従来のツールではできないことです。
言い換えれば、どのようなオーディオを処理しているかは気にしないということです。MPhatikは気にしません。MPhatikは、そのパワーで簡単に処理を行うことができます。
MeldaProductionの標準装備
MPhatikも、MeldaProductionの標準的な機能を備えています。
M/S、サラウンドと他のチャンネルモードのサポート、簡単に比較できるA-Hプリセット、使いやすい統合ヘルプシステム、自動ゲイン補正など、MeldaProductionの標準的な機能を常に備えています。
システム要件
Windows
- Windows Vista / 7/8/10(64ビット)
- VST / VST3 / AAX互換ホスト(64ビット)
- SSE2対応のIntel / AMDプロセッサー
Mac OS X
- Mac OS X(10.9以降、64ビット)
- VST / VST3 / AU / AAX互換ホスト(64ビット)
- SSE2 をサポートする Intel/AMD プロセッサまたは Apple Silicon プロセッサ
注: 詳細とインストール手順については、製品のPDFドキュメントを確認してください。
MPhatikの各機能
1:メインパネル(グローバルセクション)
包括的なプラグインのエフェクトのかかり具合の調節(Dry/Wet)やダイナミックの量の制御、サイドチェーンの切り替え、ダイナミックモードの切り替えなど。
2:MeldaProductionのディストーション・アルゴリズムによる「AMP」機能(「Vintage1」「Vintage2」「Modern」の 3つのアルゴリズムを搭載)。
このセクションでサウンドにディストーション、 オーバードライブ 的な味付けを加えます。パラメーターは単純明快で 「Drive」と「Character」のみ。
3:コンプレッサー
シンプルで使いやすいコンプ。
4:コンボリューション リバーブ(IR)
MeldaProductionお手製のリバーブ(種類多いです)を用いてDry/Wet、ワインディング、ハイパス/ローパス・フィルタの4つのパラメーターで調整して音作りを深めていきます。リバーブの種類がとても豊富です。
5:リミッターやMS処理機能への切り替えなど。
6:モジュレーション機能は4機搭載。
UI右側のメーターのすぐ下にあるModセクション。奥が深い機能です。ここを触りだすとエンドレスなサウンドデザインに突入します。
MPhatikにある、ほとんどのパラメーターを変調することができます。モジュレーションの方法もノーマルなLFO、フォロワー、ランダム、ピッチなど、色々あります。
ここはマジでヤバいです。自分はまだまだ勉強中で気が遠くなってしまうのですが、このセクションが使いこなせるようになると、変幻自在なサウンドデザインのマスターと呼ばれるようになるでしょう。
追記:V13になり新しいUIが追加されています。
管理人メモ
MPhatik良い点をまとめると、、
- 3つの異なる機能のプラグインの集合体なので、一つで3度美味しい
- 強力なコンボリューションリバーブ機能(IRの種類が豊富)
- 様々な楽器、用途に使えて汎用性が高い(特にドラムやベースの存在感を増すことに長けている)
- CPU負荷が最適化されていて軽め
- (Meladaの中では一見シンプルで)操作性が良い
- 音質はMelda。勿論ハイクオリティ。
- ディストーションセクションは簡易的だが、Melda独自の優れたディストーション・アルゴリズム「AMP」が付いている
- UIの拡大縮小可能
欠点は?
- AMPセクションがシンプルで融通が利かない。
- UIはやっぱりMeldaです。一般的な他社製品の実機的なUIと比べると退屈。
- 操作性にクセがある(逆にこのMeldaの操作を会得すると他のMeldaプラグインもすぐに使えるようになる。Meldaのプラグインは操作が統一されています。)
- 全ての機能をマスターし、使いこなすのには時間がかかる(全てを使いこなせなくてもMPhatikの恩恵を受けることは可能です)
また、このブログでは何度か触れていますが、Meldaのプラグインは、一生涯アップデート無料です。
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