現在、DAWミュージシャンにはおなじみのJJR Shopにて、iZotope Elements Suiteが67.15ドルの特価セールを実施しています。この価格は私の知る限り過去最安タイ(去年のブラックフライデー頃にほぼ同価格の最安セールがありました)。
今回は、 その特価中のiZotopeの格安バンドル「Elements Suite」を購入すべきか考えます。
iZotope
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プラグインセール大好き野郎の私にとって、iZotopeは不思議な存在です。
(演出された)お得感に躍らされ、ウキウキさせてもらったも日もあれば、
別の日は「なんじゃこりゃ・・ふざけるなー・・。」とプリプリさせられたことも。
(そのワケは追って後述します。)
iZotopeといえば、音響系のソフトウェアメーカーの雄。Native InstrumentsやWavesなどと並んで最大手の一角。
iZotopeはWavesほどではありませんが、様々な用途のプラグインを開発しています。
例えば、DJの飛び道具風なエフェクター「Stutter Edit」やディストーションの枠に収まり切らない多彩な歪み系エフェクター「Trash」、声を自在にこねくりまわして加工するエフェクター「VocalSynth」など、確かな技術力に裏打ちされたiZotopeならではのユニークかつ即戦力となるプラグインが多数あります。
そんな数あるプラグインの中でもiZotopeで主力といえば、ミックス、マスタリングに用に特化した製品群、Ozone、RX、Neutron(以前はAlloy)の3つでしょう。
Elements Suite
今回セールになっている「Elements Suite」は、iZotope主力の3つのプラグイン(Ozone、RX、NeutronのElements版)をまとめた製品です。(ミックスとマスタリングに使用するプラグインです。)
現在、JRR Shopにて、67.15ドル(7,500円)でセール真っ最中です。
通常価格は199ドル。
Elements Suiteの収録プラグインは、
の三つです。
どれも下位版のElementsです。
これらElementsシリーズは、上位版のフルバージョンと比べて機能の制限がかなりキツめです。
(フルバージョンと比較して倍以上の価格差があるので。。)
「Neutron2」「Ozone8」「RX6」の3点には、以下の三つのバージョンがあります。
「Elements」
(機能限定・ライト版。機能的にはかなり貧弱。「これだけでミックスやマスタリングを完成させるのが現実的」とは少々言いづらいかもしれない。)
「Standard」
(標準版・主要な機能は揃っている。しかし、内蔵プラグインの単独起動は出来ない。したがってCPUフレンドリーとは言いがたい。)
「Advanced」
(上級版・内蔵プラグインの単独での使用が可能など、より痒いところに手が届くようになっている。)
各製品のバージョン比較(Neutron, Ozone, RX)
https://www.izotope.com/en/products/mix/neutron/features-and-comparison.html
https://www.izotope.com/en/products/master-and-deliver/ozone/features-and-comparison.html
https://www.izotope.com/en/products/repair-and-edit/rx/features.html
*上記三つのElements版プラグインの中で比較的製品としての完成度が高いのが、RX Elementsと言われています。
(RX Elementsは、三つの中では機能制限が一番緩めなので。)
*ちなみに私個人が所有しているのは、 Neutron ElementsとOzone Elementsの二つです。それも一個前のバージョン。
Elementsは上位版にアップグレードする時にうま味がある
ご存知の方も多いと思いますが、下位バージョンである「Elements」を持っていれば、
その上位版の(「Neutron2」と「Ozone8」、「RX6」の)「Standard」や「Advanced」に割引価格でアップグレードすることが出来ます。
特に、年に数回あるセール時なら、新規で買うより優待割引が効いて、通常時の数割は安く買えます。
*持っているElementsプラグインの上位版を優待価格で買うことができる。
例:
「Neutron Elements」
↓
「Neutron2 Standard」 or 「Neutron2 Advanced」
(優待価格でアップグレード可能)
*原則的に、異なるプラグインからの優待価格アップグレードは出来ない。
例
Neutron Elements
↓
Ozone8
(原則的に優待価格ではアップグレード出来ない)
2018年9月1日追記:
最近は、何かしらのElements版を持っていれば、O8N2などにアップグレード可能になっているようです。ただし状況は常に流動的ですので、購入する時は、セールをやっている販売店にメールで問い合わせ確認したほうがよいと思います。
ただし、最近は、iZotope社本家サイトのセール時、「O8N2 Bundle」や、ほぼ全部入りの「Music Production Suite」が、Elementsやtrashなどしか持っていないのに優待割引のオファー来るようになっていました。
以前そのことで、iZotope社に問い合わせましたが、「コンピュータ上のミスだが、表示されているので購入できますよ」とのこと。
しかし、今回のセールでも同じように(上記画像参考)、Elements製品とTrashしか持っていないのに、
「O8N2 Bundle / Loyalty Crossgrade from Standard Products」
や
「Music Production Suite / Loyalty Crossgrade from Standard Products」
の優待割引が効くクロスグレード価格で購入が可能になっちゃってます。(これはもう「意図的にやっているんじゃね?」と疑ってしまいますね。。)それでも、Plugin BoutiqueやJRRなどで買うのと比べれば高いのですけど。
また、Plugin Boutiqueのセールだと、「Elements」の所有者ではなくても、「Trash」や「Stutter Edit」などの単体プラグインからも「O8N2 Bundle」や「Music Production Suite」のバンドル製品への優待価格が出ることがあります。
前述の通り、Elements製品は、今後上位バージョンのバンドルやプラグインを購入するための踏み台として利用できます。
誤解を恐れずに言ってしまうと、Elements製品の価値は、プラグインそのものより、「アップグレード割引特典」が一番大きいのではないかと。
一方、今回のElements Bundleは、iZotopeの上位バージョンの製品を狙っていない方にとっては、うま味の薄い製品かもしれません。
(結果的に、私にとってはそうでした。)
個人的には、現在所有しているElementsから上位版にアップグレードする気はありません。
そして「今後も、iZotope製品は、当分買わないんじゃないかなぁ」と思っています。
(とはいえ、物凄いお得なセールが来れば、あっさり前言撤回すると思います (笑)。)
以下に簡単にですが、私がiZotopeの製品を積極的に買わない(使わない)理由を説明します。
iZotope製品を積極的に買わない理由
最初に言っておきたいのが、iZotopeの製品は他社製品と比べてもスペシャルだと思います。Neutronはユニークだし、Ozoneは、私がここで声を大にするまでもなく、素晴らしいマスタリングツールです。そしてTrashも好きで使っています(やや重いけど)。
Neutron
まず、「Neutron」。
私は、自身が所有するNeutron Elements版のだけでなく、上位版のAdvancedも長らく試用しています。そして、実際、その良さを大いに実感しています。
Neutronの売りの一つである「トラックアシスタント」機能。
ちまたで賛否はあるようですが、ミックス時の参照機能としてみれば、かなりイケている。
ミックスがよく分からないビギナーさんでも、Neutronにお任せしちゃえば、ある程度のカタチになってしまう恐ろしいプラグイン。(もちろん完璧ではありませんよ。)
加えて、Standard版以上に搭載されている「マスキングメーター」。
これも非常に便利なツールです。(Elementsには搭載されていません。)
マスキングメーターを使えば、2つの異なるトラックを、「一つのNeutronの画面上」で同時にEQの調整が可能です。
2つのトラック間の周波数帯のぶつかり(干渉)が、手に取るように分かる。
また、「Inverse Link」機能をオンにして、一方のEQをポイントを動かすと、もう一方のトラックのEQが逆方向に自動的に調整されます。
「そんな単純なイコライジングで良いの?」とは思うけど、結構スッキリ聞きやすくなります。
Neutronは、手取り足取り親切設計だなぁとつくづく思います。
なのに、なぜ、Neutronを積極的に使用しないかと言うと、、
1 .(私のノートPCでは*)結構重い
せっかくのトラック用の総合ミキシングプラグインなので、どうせなら曲中全てのトラックに使用したい。しかしそれはマシンへ負荷がかかり過ぎてキツい。(まずこれで萎えてしまった。)
(*MacBook Pro 15インチ 2015年 標準モデル)
Neutronに限らずiZotope製プラグインは負荷が高い傾向にあります。これも、私がiZotope製品を積極的に使わなくなった理由の一つです。
とはいえ、ハイスペック・マシン(特にハイエンドなデスクトップPC)を使用されているなら方なら、私のような問題は感じないのではないかと思います。
2 . すでに気に入っているEQやコンプなどのミキシング用プラグインを持っている
Neutronより、単体で使用しているお気に入りのプラグイン群の方が軽めです。(Waves製品多め。)
また、それらプラグインを、自分の好きなように選びつつ組み合わせて使うのも結構楽しい作業なので。
一方、Neuronでも、最上位版のAdvancedだと、EQ、コンプなどの各プラグインを単独で使用できます。なので、他のメーカーのプラグインと組み合わせて使うことは可能です。
特にNeutronのEQは、ダイナミックEQが使えます。ナイスです。
しかし、私はすでに気に入ったEQ、コンプなどがあるので、結構な価格のAdvancedまでは必要ないかぁと。。
追記:
ダイナミックEQは、MeldaProduction社のMAutoDynamicEqを導入しました。
恐ろしいほど機能てんこ盛りの凄いEQです。しかもセールで買うとかなり安い!
(ホントにオススメのEQなので、セールが来たらこのブログで告知します。)
Soundradix社のSurfEQとほぼ同じことができます。(EQのポイントがリアルタイムで追従する機能。)
参考記事:
これで、Neutron Advanced購入への道は、より遠のきました。。
それと、「トラックアシスタント」は興味深い機能なのですが、あれは、やっぱり「Neutronの音だなぁ」と感じてしまう。面白いけど、私の場合は必須の機能ではないようです。
「トラックアシスタント」機能が目当てなら、Nutron Elementsを買うか(Neutron Advancedのデモ版を使って)トラックを分析させて、Neutronが提示したEQやコンプの状態を参考に、自分が所有しているプラグインで真似てみるという手もあります。
3 . マスキングメーターは便利だけど、他に同じような道具を持っている
そして、マスキングメーターですが、私はMeldaの「MMultiAnalyzer」を使っています。
Neutronでは2つのトラック間の音のぶつかりしか確認出来ませんが、MMultiAnalyzerは複数のトラック間の音のぶつかり(干渉)をグラフィカルに確認できます。
MMultiAnalyzerはただのアナライザーなので、EQ機能はありません。したがって、EQ自体の調整は、手持ちのEQを使うことになります。
しかし、このほうが私的には良いんですよね。。なぜなら、MMultiAnalyzerは、EQ機能がないおかげで、自分の好みのEQと共に使用することができます。
いっぽう、Neutronのマスキング機能を使用する場合は、原則的にNeutronのEQを使用する必要があります。(マスキング機能とEQが一緒になっているため。)
MMultiAnalyzerは、セール時を狙うと結構安く買えます。
そして、(私が所有している)Neutron Elementsですが、最近は、出番がほとんどありません。。
Neutron Elementsを使わなくなった理由
理由は主に以下の5点。
1. (機能限定版の)Elementsでも負荷が結構高い。
2. 内蔵プラグインを(分割して)単独で使えないので、余計に重く感じる。
3. Elementsでは、(Neurtonの売りである)Dynamic EQが使えない。
4. 個人的に他社製品の方が好み。
5. 「トラックアシスタント」は面白いけどやっぱりミックスは自分で考えながらやりたい。
やはり私にとっては、Neutronは必須プラグインと言うよりは「おもしろプラグイン」。(たまに立ち上げて楽しむ。。)
しかし、ハマる方にはドンピシャなプラグインだと思います。(使ったことがない方は是非デモってみてください。)
Ozone
Ozone。こちらはNeutronとはちょっと話が違って来ます。Ozoneはマスタリングを自分でやるなら、選択肢の第一候補かと。
現在、マスタリングプラグインでは頭一つ抜きんでている人気の製品。
(Ozoneは、マスタリングに必要なツールがひとまとまりになっている集合体的製品です。)
Ozoneについては、ネット上に優秀な解説記事が多数上がっているので、ここで適当な説明をする必要はないと思います。
ですので、購入時の注意点だけ上げておきます。
まず、NeutronやRXに興味がなく、将来的にOzone StandardもしくはAdvancedだけ欲しい人は、「Ozone Elements」の単体のセールが来るのを待てば良いのでは?と思います。
ちなみに私は「Ozone Elements」を、2600円くらいで買いました。@Time+Space
「Ozone Elements」を持っていれば、Ozoneのセール時に、「Standard」もしくは「Advanced」を優待価格で購入できます。
2018年9月1日追記:
「Ozone 8 Elements」は、実質的に1ドルで購入可能になってしまいました。。というか実質無料ですね。。貰ってないかたは今のうちに貰っておきましょう。(貰える期限がいつまではよくわからんので。)
なので、、
次の「Ozone Elements」のセールが来たらそれを購入する。
⬇
その時「Ozone Standard」や「Ozone Advanced」も同時にセールになっているなら、購入した 「Ozone Elements」を製品登録する。
(もし、「Ozone Standard」や「Ozone Advanced」が同時にセールになっていないなら、次のセールを待つ。)
⬇
その後、「Ozone Standard」や「Ozone Advanced」のセール時に、「Ozone Elements」からの優待価格(クロスグレード)で、それらを購入をする。
この方法が賢明かと。。
しかし、急いでいる場合は、今回のセールで「Elements Suite」を買っておくのも悪くはないと思います。(RXやNeutronも優待価格で買えますし。)
また、マスタリングに関しては、自分でやらずに、LANDRやeMasteredなどの格安なオンライン・マスタリング・サービスを利用するのも一つの方法ではないかと思います。(そのクオリティに対する議論の余地はあるとは思いますが。。)
一方、個人的にはどうしているのかと言いますと、手持ちのWaves(L3 Multimaximizerなど)などの単体の各プラグインを使用しながら試行錯誤を楽しんでいます。
しかし、Ozone8のTonal Balance Control が気になっているので、タイミングが合えば購入するかもしれません。(Tonal Balance Controlは、Advanced以上じゃないと付いてきません。)
Ozoneもマシンへの負荷が高いソフトです。ただしOzoneはNeutronと違って、DAWを立ち上げなくてもスタンドアローンで起動できるのは利点かと思います。
そして、もう一つ、私がiZotope製品を積極的に買わなくなった理由があります。
それは、、
iZotope製品は更新サイクルが比較的早い
iZotopes製品を購入する上で注意したいのが、
「(特に)NeutronとOzoneは、メジャーアップグレードのサイクルが早い傾向にある」
と言うことです。
Neutronに至っては1年も経たずに新しいバージョンが出たと記憶しています。そして、前バージョンを購入した人への救済措置は非常に限定的なものでした。
私が購入した、Ozone ElementsとNeutron Elementsは、どちらもアップデートは恐らく一度もなかったんじゃないかと思います。(もしかしたら一度くらいはあったかもしれませんが・・記憶にない。。)
一年も経たずに行われた新バージョンのアップグレードは、もちろん有料。
要するに、「新しいバージョンが欲しければ、優待価格にしてあげるから、購入してね。」と言うことでしょう。
いわゆる「お布施」ってやつです。
これが、無償のマイナーアップデートを重ねつつ、3年くらい経っての有料メジャーバージョンアップと言うのなら、理解しやすいのですが。。
正直なところ、私は嫌気が差して、新たにiZotopeの製品を購入しようとは思えなくなりました。
したがいまして、iZotope社の製品は、購入の時点で「過不足なく使える」と思ったプラグインのみを買うのが良いのではと思います。
未来の無償のアップデートはあまり期待しないほうがよいと言うことです。
(デモ版の試用が重要かと思います。)
若干ネガティブな内容になってしまいましたが、私の知る限りのiZotope関連のお買い物情報を共有できたらと思い記事にさせていただきました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
追記:
と、こんな記事を書いておきながら、Ozone8を導入してしまいました。。
セールで安かったもので、つい。。
もっと早く買っとけば良かった。楽ちん過ぎる!
10月31頃まで表示価格の1/3の値段で買えるかも。。
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