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「古くて新しい波」ロータリーミキサー ~ 現代的DJの機材選び (1)

 

伝統的にテクノやハウスDJの三種の神器といえば、ターンテーブル、ヘッドホン、それにミキサーだろう。

しかし現代では、それらハードウェアにとらわれないプレイスタイルも一般化してきている。

 

それは一体どういう事なのか?

 

DJプレイを行う上で中心的な役割をはたすミキサーの現状について見ていくと、その辺の事情がクリアなってくる。

今回から数回に分けて、主に「トラディショナルなスタイルで用いられるミキサー」や、「PCを使ったDJで用いられるミキサー」の現代的傾向について見ていきたいと思います。これからDJを始めてみたいという人にもぜひ読んでいただきたい。

 

本稿をひと通り目を通したあと、クラブミュージックの本流である、テクノ、ハウスDJの現代的なプレイスタイルについてあなたの理解が深まることを期待します。

最初に、少しだけ高級な機材の紹介からはじめますが、(そんな高いものは今は買わないとしても)現在、どのようなミキサーやそのセットアップが、DJたちの間で高く評価されているのかを知ることは、けっして無駄ではないはずです。

 

それではまず、今年注目されている旬なDJミキサーの紹介からはじめましょう。


  「現代的DJの機材選び」目次

 

1 「古くて新しい波」ロータリーミキサー

今回はここ 

 

2 「DVSとPCDJ」リアルミキサーとPCを使ったDJプレイ

 

3  本格的なDJプレイを望む人にお勧めしたい 「Kontrol Z2 DJ Mixer」

 

4  MIDIコントローラーとインターナルミキサーを使ったDJプレイ

 

5  MIDIコントローラーでDJをする場合の利点と欠点

  

6  これからDJを始めてみたい方への指針

 

7  PCDJとヘッドホン

  

 

リアルミキサーの最近のトレンド 〜 原点回帰の流れ

ハウスDJ界隈では、ロータリーミキサーが流行の兆し

Rane MP2015 Rotary Mixer

RANE レーン / MP2015 ロータリーミキサー 

 

MP2015は、ハウス、テクノ用のDJミキサーとしては、間違いなく今年一番の注目株だろう。ノブやメーターなどの高級感ある造形美が物欲をそそる。

 

下の動画は、サンフランシスコの人気DJ情報サイト「Djtechtools」のEan Golden氏がMP2015を使ってデモンストレーションしているもの。

まずは下の動画を見てもらった方が言葉で言うより、どんなミキサーなのかイメージしやすいと思う。

 

4チャンネルミキサーのMP2015は、HI、MID、LOWの3バンドEQを搭載。マスターにも3バンドアイソレーターが搭載されているので、より細かいコントロールが可能になっている。
各チャンネル毎にフィルターが付いていて、

ハイパスフィルター、ローパスフィルター、もしくはハイパスとローパスが組み合わさったフィルター

の3種類のフィルターを切り替えて使う事ができる。

  
往年のロータリーミキサーのクラシカルでアナログ的な暖かみは残しつつ、現代的なフィルター群と操作性を備える。また、あらゆる機材との接続を想定したオールマイティーな作りも特筆すべきところ。

 

 ロータリーミキサーとは、

最近のDJミキサーの音量調節はスライド式の縦フェーダーデザインが多いが、それらが「ロータリー(回転式の)フェーダー」になっているミキサーの事を言う。

ロータリーフェーダーは、縦フェーダーよりも、きめ細かな調整が出来ると言うDJが多い。この辺は好みの問題だと思うが、フェーダーの形状が異なるだけでもDJのプレイスタイルは結構変わる。

後に紹介するYoutube動画のMotor City Drum Ensembleのロータリーミキサーを用いたDJプレイを見てみると、縦フェーダーミキサーとのプレイの違いを、(DJをやったことがない人でも感性の鋭い方なら、)発見できるかもしれない。

 

RANE レーン / MP2015 ロータリーミキサー

MP2015。写真最下部の左から並ぶ4つの回転式ツマミがボリュームフェーダー。 このボリュームフェーダーが回転式のミキサーを「ロータリーミキサー」と言います。

 

実はMP2015はフルデジタルミキサーだ。もちろんフィルターの処理もデジタル。

デジタルミキサーの音質を左右するDACには、現在最高峰とも言われる旭化成エレクトロニクス製のハイクオリティーD/Aコンバータ「Audio 4 Pro delta-sigmaモジュレーター・コンバータ」が採用されている。

古典的な衣を身にまとってはいるが、その内実は現代技術の粋を集めたハイテクミキサーだ。

 

現行で販売されているデジタルミキサーでは、このMP2015が最高峰と言ってしまっても問題ないかと思います。

   

このMP2015、(2015年8月現在)米国Amazonでは、3000ドルほどで販売されている。日本国内正規発売はまだのようだが、40万円は軽く超えそうな予感(※)。非常に良さげなブツだが、ちと高い。

 

(※)英国の大手レコード通販会社のJUNOレコードでは37万5千円の値がついてる。JUNOは日本への発送も可能。

 

ちなみにこのMP2015、後に紹介するDVSやタンテを使わないPC+ミキサーのみのDJプレイでも十分真価を発揮するスペシャルなミキサーだ。また、Traktor公認のミキサーとなって、全てのノブとボタンがmidiコンとしてマッピング可能となっているのも面白い。

 

また、MP2015には2つのサウンドカードと、それらに接続可能な2つのUSBポートを内蔵している。この機能のおかげで、PCを使ったプレイでDJたちを悩ましてきたDJ交代時の煩雑さが解消されている。

 

こちらのミキサーを見て「クロスフェーダーがないじゃないか?」と疑問に思う方もいるかもしれないが、テクノやハウスミュージックではクロスフェーダーを使うDJの方が少数派だ。

曲同士のミックスは、ボリュームフェーダーやイコライザー、フィルターなどを使用して精緻に調節していくのがハウス系の音楽では一般的だろう。

 

 

フランスのハウスプロデューサー「BRAWTHER」レコードとMP2015のシンプルなプレイ

 

 

 

E&S DJR400 Portable Rotary Mixer 

同じくスペシャルなロータリーミキサーだが、こちらは伝統的なアナログミキサーでフランス製。美しいデザイン。

「E&S Audio DJR400」 参照:http://www.electronique-spectacle.com/djr400.php

 

旅行にも便利なポータブルロータリーDJミキサー「DJR400」。

最近、このミキサーを使っているテクノ、ハウス系のDJが増加中。こちらは30万円前後で、国内でも販売されている。発売されてから割に時間は経っているが、違いのわかるプロやマニアたちの間からじわじわ支持を集めている。

 

ドイツのプロデューサー兼DJの「Motor City Drum Ensemble」もDJR400でプレイ。(下の動画参照)

 

 一見地味でクラシカルな趣きだが、一周回って実に現代的なプレイスタイルだ。 

 

このDJR400、小型の筐体ながらもしっかりとした4チャンネルのミキサーで、2ターンテーブル+2CDJのような4曲同時ミックスといったプレイも可能。

 

DJR400のサイズは、

280mm x 210mm x 70mm 2,8 Kg

と、リアルな4チャンネルミキサーとしてはかなりコンパクトに収まっている。

 

音質は、これでもかというほどクリアで、しかも温かみかあって野太い音。 

性能の良いロータリーミキサーはミックス時に角が立たないというか、なめらかに曲同士が混ざる。

穿った言い方をすると、ミックスにごまかしが効いてしまう感じと言えばいいだろうか。ゆえにDJが上手になったような錯覚を覚える。

一度手にすると虜にになってしまう、大変素晴らしいミキサーだ。

 

DJR400の各チャンネルのEQはHIとLOWの2バンドのみだが、ロータリーミキサーを用いるDJプレイではそこまでEQは頻繁に使用しないので特に問題にはならないのではないかと思う。

フィルターは上部に3つ。これは、メインの出音にかけられるフィルターで、左からLOW、MID、HIをしっかり切ることができる。いわゆるアイソレータータイプ。この3本のフィルターと絶妙なカーブのボリューム・フェーダーがDJR400の魂と言えるだろう。

 

そこそこ安く買えるチャらくない質実剛健なDJ用ヘッドホン


上記のYoutube動画でMotor City Drum Ensembleも使用している、これぞ「The Headphone for Real DJs」って感じのHD25。良いモノです。

そのHD25の新パッケージが、旧モデルの約50%オフで売られています

【国内正規品】ゼンハイザー 密閉型ヘッドホン HD25-1 II

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上のHD25の新パケージ版がかなり安く買えるようになりました。

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(ゼンハイザー・ジャパンの保証がある)国内正規品では今のところアマゾンが特にお買い得プライスになっています。

相当安くなったので、これはオススメです。

   

 

こっちはソニーのDAWやリスニングも難なくこなす、使えるDJヘッドホン。ド定番。

SONY ステレオヘッドホン MDR-7506

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備考      

最近は、上記のように、

「 プレミアムなロータリーミキサー + ターンテーブル + アナログレコード 」

を用いたDJプレイが、「オールドスクールで、最高にクール」という感じになっているようだ。

特にDeep House界隈ではその傾向が強い。

 

 

以上、現代のクラブミュージックシーンにおいて最重要な位置にあるミキサー「ロータリーミキサー」について見てきたが、これらの質感、音色、全体が醸し出すフィーリングは、まさに「今」を感じさせてくれる。

 

ロータリーミキサー自体は、セカンド・サマー・オブ・ラブ全盛の80年代後半に、UREIなどがリリースしたものが有名だが、それがまたここに来て「古くて新しい」波として再びやって来ている。

  

しかし、いかにそのような面白い波がやってきているとはいえ、ほとんどのDJたちにとって、これらの機材は高嶺の花。ハイクオリティーなロータリーミキサーは、非常に高価なものだ。

 

次回は、もう少し消費者的な目線で、より裾野の広いDJプレイスタイルの現代的潮流について見てゆきましょう。

次回:「DVSとPCDJ」リアルミキサーとPCを使ったDJプレイ~現代的DJの機材選び (2) 改訂版

 

今ならKontrol S5が、69,800円で買える

Native Instruments DJコントローラー TRAKTOR KONTROL S5

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Native Instruments本家の通販サイトでは通常価格である99,800円

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なんなんだ、これ・・。驚きのプライスです。

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追記事項

 

2016年5月29日

MP2015は、Junoレコードでは約29万円とかなり価格が下がっています。

 

 

ちなみに、MP2015の2チャンネル版のMP2014もリリースされています。

 

こちらも英国の通販サイトJUNOレコードにて2016年5月29日現在、

B-Stock(新古品)が¥214,736新品が¥254,255で発売されています。(2016年9月16日追記:価格が下がってます。¥195,299)

4チャンネルミキサーの兄機「MP2015」同様、このMP2014も、最上部にマスター音にかけることのできるフィルターは、HI,MID,LOWと3つ用意されています。

 

 

2015年9月16日

MP2015の国内販売が開始されました。

9月16日現在、国内のアマゾンで購入可能になっています。価格は43万円。海外通販で購入したほうが送料+諸経費を合わせても安く買えそうですが、国内版は日本での代理店であるヒビノのサポートがつきます。

 

2015年11月9日

英国JUNOレコードでは¥349,755に若干値段が下がっています。

米アマゾンでも約2800ドル(約35万円)と8月の頃より200ドル(2万4千円円)ほど値下がりしています。

日本のアマゾンでは相変わらず43万円と変わらず。

これなら送料(FedExで約1万2千円)、諸費用を払ってもJUNOレコードで買った方が安く入手出来そうです。ただし、並行輸入版は変圧器(5千円〜1万円)が別途必要になると思われます。

 

2016年10月8日追記:

mp2015のPDFの概要書を読んだところ、変圧器は不要なようです。

(引用開始)

Worldwide Use

Properly tested and certified safe and non-interfering the MP2015 enjoys worldwide use.
The internal power supply accommodates line voltages from 100 to 240 VAC and either 60 Hz or 50Hz and is fitted with a detachable universal IEC-320-C13 power cord. This combined with international agency approvals allows the MP2015 worldwide usage.

(引用ここまで)